SNS上でも話題になった
「AIの台頭によりライターの仕事がなくなるのでは⁉」
という不安。
その背景にあるのが、2022年11月に公開されたChatGPTの存在です。驚異的な進歩を遂げるChatGPTに対して、ライターとしての今後の行方を心配する声も出ています。
そんな中、2023年4月28日にオンラインWebスクール「デイトラ」主催の公開ウェビナーが開催されました。このウェビナーでは、douco株式会社代表の佐々木ゴウさんとデイトラ取締役兼マーケティング責任者の初芝賢さんが、ChatGPTの登場によるライター界の変化や最先端のAI事情について赤裸々なトークを展開。業界の最前線で活躍するプロだからこそ話せる内容や最新情報が満載でした。
この場で2人は、これからのライターに求められるのは、AIを脅威に感じるのではなく、上手に活用してステップアップを図ることだと提言しています。
AIやライティングに興味のある人もない人も、ぜひ最後まで読んでみてください。最後に効率的にAIライティングを学べる教材も紹介されていますよ。
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講師紹介
登壇者プロフィール(※肩書などはイベント開催当時のものです)
AIをめぐる現状は「思ったよりも大丈夫」
初芝:本日はよろしくお願いします。
佐々木ゴウさん(以下、ゴウさん)は現在、企業を相手としたライティングの仕事をしていますが、AIの登場によって受託する仕事の量に変化はありましたか?
佐々木:今回は「AI=ChatGPT」という前提で話をさせてもらいますが、現時点(2023年4月)の話でいえば、「思ったよりも大丈夫だった」というのが素直な感想です。
むしろ私の体感としては、企業からのライティングの依頼案件は1割ほど増えています。具体的にいえば、「ChatGPTに文章を書かせてみたけど全然ダメだった。だからライターさんにお願いしたい」というオファーですね。ささやかではありますが、ChatGPTの登場が新たな仕事の追い風になっている感じです。
初芝:それは少し意外でしたね。世間的には「AIにライティングの仕事を取られてしまった」という声がよく聞かれますから。
佐々木:確かに、AIに代替されることによって受注が減っているライティング案件もあります。でも、それらは主に文字単価0.2円以下の極安案件であり、いわば誰がやっても同じ仕事なんですよ。そんな仕事はやっていても楽しくないし、報酬も上がらない。だったら、そんな仕事はむしろAIにやらせてしまったほうがいいと私は思います。
初芝:そうですね。ライターとして少しでもキャリアアップしていきたいのであれば、AIのあるなしに関わらず、誰でも書けるような記事の執筆は早く卒業したほうがいいですからね。
なお、ChatGPTが登場した2022年後半から2023年当初にかけては、SNS上で「ライターの仕事はもう終わった」という主旨の発言が多く目につきました。これは一体どうしてだと思いますか?
佐々木:私が思うに、そうした発言をする人たちの最終的な狙いは、自分の発言に興味を示した人々に教材等を売りつけることです。SNSのシステム上、少々過激でライターの不安を煽るような発言をしたほうが、より多くの人の目に留まり、教材を売りやすくなりますからね。
佐々木:私たちライターは、そうした発言に必要以上に心乱されることなく、冷静に対処していかなくてはなりません。私はAIの台頭で不安を感じている人こそ、AIのことを正しく知ってもらいたいと思っているんです。AIに何ができて、何ができないかをきちんと知ることで、きっと今感じている不安は解消していくことでしょう。
初芝:本当にその通りですね。
次のセクションでは、その具体的な内容について深掘りしていきます。
AIの得意なこと
初芝:最初に、AIの得意なことは何でしょうか?
①切り口・発想の種を探す
画像⑤ Webライター 副業
佐々木:AIが得意とすることの1つ目は、
・「お役立ち情報●選」で紹介する内容をリストアップする
・「メリット&デメリット」の各内容を洗い出す
といった記事作成における新しい切り口や発想の種を探すことです。
例えば「Webライター 副業 おすすめ」という記事を書くとします。
そんなときにChatGPTに、「副業でWebライターをするメリットを30個出して」という指示を出すと、実にいろいろな着眼点からメリットを提示してくれるんですよね。
さらに、
「ライターにとってのメリットは?」
「家族にとってのメリットは?」
などのように、立場を変えて問いを出してみることも効果的です。
初芝:もちろん、時にはまったく使えないものを出してくることもありますけどね(笑)。
佐々木:そうですね。でも、こうやってAIに出させた無数のアイディアをブラッシュアップしていくことこそが、我々ライターの仕事ですから。
②文章の構成を作る
佐々木:AIが得意とすることの2つ目は、文章の構成を作ることです。
私は初めてのジャンルにおける記事を作成する際、文章の構成を作る段階でChatGPTの意見をよく参考にしています。
初芝:AIからよりよい答えを引き出すために、質問を投げかけるときに何か工夫していることはありますか?
佐々木:相手に具体的な役割を持たせたり、置かれている状況をしっかり伝えたりすることが効果的だと思います。
①GTPの役割:例)「あなたは倉庫の在庫管理のプロです」
②私の役割:例)「私は『倉庫の在庫管理を効率的に行うやり方』についての記事を書くように依頼されたライターです」
③読者像:例)「読者層は倉庫の在庫管理に詳しくない人々です」
この3つを揃えて投げかけることで、かなり有益なアイディアを出してくれるでしょう。
②タイトルや短いキャッチコピーを作る
佐々木:ちなみに初芝さんはどんなときにAIを使っていますか?
初芝:私が仕事でいろいろChatGPTを使ってみて「これは使える」と思ったのは、記事やYouTubeのタイトル、あるいは中見出しといった短いキャッチコピー作りです。
初芝:たとえば、「バズるキャッチコピー●選」 といった本があるとします。その中で紹介してあるポイントを3つぐらい抜き出した上で、
・ターゲットは〇〇です
・この商品のメリットは〇〇です
・キャッチコピーには具体的な数字を入れてください
・これが過去の成功例のサンプルです
といった形で依頼すると、なかなかよいキャッチコピーを作ってくれますよ。
AIの苦手なこと
初芝:一方で、AIの苦手なことはどんなことでしょうか?
①信頼性の高いリサーチをする
佐々木:やはり、信頼性の高いリサーチをすることですね。AIはたまにとんでもない嘘をつきますから。
初芝:本当にそうですよね。ただし、これはAIの構造上仕方のないことでもあるんです。AIの判断基準は「これが真実であるか」ではないんです。インターネット上に上がっている膨大な数のデータの中から、「この言葉の次にはこの言葉が続く可能性が高い」というように、確率論的に答えを導き出しているだけですから。
佐々木:それだけに、正しい情報をちゃんと調べ切ることがより重視されるようになるでしょうし、きちんと事実確認ができるライターは、今後、さらに重宝されるでしょうね。
②取材をする
佐々木:また、私はAIに対人取材をさせることは非常に難しいと考えています。そもそも、どこかの企業の重役さんに、「今回は、人間じゃなくてAIが取材をしますよ」と言ったら、まず嫌がられると思うんですよ。
初芝:そうですね。それにAIには、「あのときSNSでこんな発言をしておられましたよね」などと補足情報を出しながら相手について深掘りをすることはできません。また、取材中に話が盛り上がって、相手が本音をポロリとさらけ出してくれるといったことも、AI相手では絶対に起こり得ませんからね。
佐々木:取材とは、生きた感情を持つ人間同士の会話の間でこそ初めて成立するものだと思っています。また、体験談やレビュー記事といった一次情報を扱う記事の執筆も、AIには難しいのではないでしょうか。
初芝:そうですね。人間が取材した音声を文字に起こすといった補助的な作業ならAIにもできるでしょうが、取材行為そのものをAIが完全に代替することは難しいでしょう。それだけに、取材相手の発した言葉から相手の気持ちをくみ取り丁寧に文章につづっていくところに、ライターとしての真の価値が発揮されるでしょうね。
③責任を取る
佐々木:AIの致命的な欠点は、自分の書く記事に責任が取れないことです。
もし人間のライターが記事を書いたのであれば、極論で言えば、その人を首にすることでその場を納めることができます。でも、もしも執筆をAIに丸投げしていたのならば、AIにはその責任を取ることはできないので、その責任を誰が取るのかという話になるんですよ。
初芝:さらに、先ほど述べられたように、AIはしれっと嘘をつくこともありますからね。
佐々木:「しれっと嘘をつく&責任を取れない」では、とてもじゃないけどAIに仕事を任せ切ることはできないという結論になるのは、ある意味当然だと思います。
今後ライターに求められるのは「取材」と「提案」
初芝:では、こうしたAIのメリット・デメリットを踏まえたうえで、これからのライターに求められることは何でしょうか?
①取材ができる
佐々木:1つ目は、先ほども言ったように「取材ができるライターになる」ということです。AIがこうした一次情報を扱う仕事をすることは、今後も不可能であると思います。それはAIの能力的な問題ではなく、人間側に嫌がられるという根本的な問題があるからです。
初芝:人は、同じ血の通った人間から熱心に話を聞かれるからこそ、ポロリと本音をこぼしたりするんですよね。でも、AI相手ではそんなことはありえません。それだけに、取材やインタビューといった一次情報を記事にできるライターには、今後も依頼がとだえることはないでしょう。
②マーケティングの観点から提案できる
佐々木:2つ目は、「顧客にマーケティングの観点から提案できるライターになる」ということです。具体的には、ただ商品やサービスの紹介記事を書いておしまいではなく、顧客に対して次のような提案ができる存在になることですね。
・ここをこうすれば、もっと申し込みが生まれますよ。
・この商品にはこんな強みがあるから、このポイントを伝えていきましょう。
・競合がこんな動きをしているから、私たちはこうしましょう。
・記事を再編集して、Xやインスタで発信してみませんか。
これができるようになれば、仕事をしていても楽しいし、きっと報酬も増えていくことでしょう。
初芝:私はライターに仕事を発注する立場でもあるんですが、こんな提案をしてくれるライターにはどんどん仕事を任せていきたいし、給料を上げてもいいから絶対に手放したくないと思いますね。
初芝:なによりも私自身が、ライティングスキルを活用してさまざまなマーケティングコンテンツを作っていくという、ライティングマーケター的な働き方を経験してきました。これは、まさにゴウさんが今最前線でやっていることでもありますね。
佐々木:そうなんです。これまではネット上にある情報をまとめたり、誰にでも書けるような記事を書くだけでも、ライターとしてやっていけました。でも、今後はそうした誰にでもできる仕事はAIによって代替されていくでしょう。だからこそ、これからはライターとしてステップアップをして、AIと戦うのではなく、AIを使いこなす側に立つ必要があるのです。
【まとめ】マーケティングライターとなってAIを使いこなそう
初芝:では、最後にゴウさんから本日のまとめをお願いします。
佐々木:はい。まず、AIは超便利であり、使わない理由はないということですね。ただし、取材など全部の仕事を代替することはできません。それだけに、取材ができたり、きちんとした事実確認ができるライターの重要性が上がっていくでしょう。
佐々木:また、AIをマーケティングの道具として活用できるライターは今後、確実に活躍の場が広がりますね。
佐々木:とはいえ、
・進化し続けるAIの最新情勢を個人で追い続けるのは大変
・取材や、マーケティング的な視点からの提案の具体的なやり方が分からない
・スキルアップのためにも誰かに自分の記事を添削してもらいたいが、頼める人がいない
といったことでお困りの方もおられるのではないでしょうか。
佐々木:そんな方にお勧めなのが、デイトラのライティングコースです。
・最新のAIライティングを含めた教材が随時アップデートされる
・取材をする・される経験を積めるイベントもあり
・業界最多レベルの充実の10回添削つき
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